まず自分と向き合うことから

「子どもが言うことをきかない。」
「親の言うことを聞かせるには、どう言えば良いか。」

よくいただくご質問です。子を案じるからこそ、親である自分の言うことを聞かせたい。その気持ちは、私もとてもよくわかります。

しかし、アンガーマネジメントは、他人を変えません。他人ではなく、自分が変わることをめざします。

事例を1つご紹介します。小学2年生の男の子のお母さまの例です。

「休み時間や放課後はサッカーなどをしてもっとお友達と活発に遊んでほしいと思っているのに、息子は読書ばかり。もっと友達と遊べと何度も言うのだが、まるで言うことをきかない。一人で帰ってくる息子、遊びに行かず読書をしている息子を見るとイライラして仕方がない。」

こんな時は、まず自分と向き合います。なぜイライラしてしまうのか。

少し時間はかかりましたが、「友達のいない子になったら心配だから」の、「心配」という言葉から紐解くことができました。

お母さまも、実は集団が苦手で、本当は一人でいたかったのだそうです。しかし、一人でいると先生が自分をかわいそうがって、「〇〇ちゃん(お母さまの名前)、一人でかわいそうだから誰か一緒に遊んであげて」と周りの子に声をかけるので、それが嫌で、以来、必ず誰かと一緒にいるように努力したそうです。

「私は別に一人でも良かったんです。別に困ることはなかったし。でも、かわいそうと言われて、自分はかわいそうなんだ、一人でいてはいけないんだと思うようになったのかもしれません。考えてみたら、男の子だから活発に外で遊ぶべきとか、子どもは友達といるべきとか、そんなことは私の勝手なこだわりなんですよね。もしかすると、私に何を言われても気にせず我が道を行く、本を読み続ける息子が羨ましくてイライラしていたのかもしれません。」

それ以降、お母さまは、自然と、外で遊べとも本を読むなとも言わなくなったそうです。(ただ、目が悪くならないよう、時々、窓の外、遠くの景色を見るように声をかけるだけにしたそうです。)「驚くほどイライラすることがなくなりました」とおっしゃっていました。すると、お子さんにも変化が現れて、時々、友達を連れてくるようにもなったそうです。

不思議、とおっしゃっていましたが、不思議なことではありません。お母さまが子どもの頃に先生から言われた「一人ではかわいそう」という押し付けられた価値観に縛られていたことに気づいたから、お母さまが変わったから、お子さんも変わっただけなのです。

自分が変わると周りが変わる。

アンガーマネジメントでは、周りではなく、自分が変わることを目指します。